大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 脳科学
反応時間とは
私:昨日まで日本語の高低アクセントのお話が続いたが、もう少し根本的な事に触れてみたい。
君:まずは昨日までのお浚いね。
私:要は日本語のアクセントは声帯の張りの調整により、声の振動数を微妙に上げ下げして、モーラに区切りをつける事。英語は呼吸筋の勢いで声の振幅を変化させる。大脳・小脳全体の強調作業であり、幼少期からの訓練の賜物、つまり母語のアクセント体系の習得には相当の時間がかかっており、獲得言語のアクセントの習得は難しい。
君:そして、今日の話題・反応時間とは。
私:声は耳で聞いて、前頭葉で解析する。つまりは耳に音が入って前頭葉がそれを感ずるまでの時間。
君:脳細胞というものは電気信号を送る細胞だから、情報は瞬時に伝わるのでは、というのは間違いね。
私:そう。神経の枝・軸索はまさに電線のようなもので、尚且つシュワン細胞がそれを巻き、正に電線のようなもので素早く神経興奮が伝わる。ところが脳神経同士が手をつなぐ部分はシナプスといって、化学伝達物質が介在する、つまりは化学反応が情報伝達手段となる。なんやかやで、耳に音が入ってもリアルタイムで前頭葉が認知しているわけではない。この時間のずれを反応時間 latency / reaction time などという。
君:会話はリアルタイムで進行しているわけではないのね。どのくらいのズレかしら。
私:平均で 100 msec 位です。
君:動物は皆同じかしら。
私:小動物は脳が小さく、反応時間は短くなる。脳の大きさに比例する。この点に於いてはサピエンスの脳は蠅や蚊のそれらよりもお馬鹿さんという事になる。人の会話の聞き取りにはほとんど問題ない時間のズレだが、交通安全ともなると別次元、異音に気づき急ブレーキを踏むまでに 500msec 以上かかるといわれている。そもそもが人間が車を運転する事は危険行為そのものです。
君:然も反応時間があるのは耳の神経だけじゃないわよね。
私:それはとてもいい質問だ。視覚にも同様の反応時間がある。なんやかやで、危険を察知して急ブレーキを踏むまでに約一秒は必要なんだ。
君:スピードの出し過ぎは絶対に駄目ね。ところで飛騨方言とどう関係があるの。
私:だからいったでしょ。マシンガントークのような飛騨方言を聞かされても、人は次から次へと文節の区切りを認識する事が出来る。これは文節のどこにアクセント核があるかを、ほぼリアルタイムで解析している事に他ならない。
君:平均で 100 msec 位は全く問題にならないわね。
私:いやあ、最近は聞き返す事がはじまってね。歳はとりたくないな。
君:老人性難聴という事で化学反応が遅くなったのね。解決策としては、まずは老眼鏡に補聴器あたりかしら。
ほほほ