大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 左大脳半球優位
言語中枢
私:本日も左大脳半球優位について。手足の運動の中枢については、左大脳半球の運動野の障害で右半身麻痺が生じ、右の脳障害で左半身麻痺が生ずる。つまり大脳半球の左右対称性というものが存在する。生物一般に当てはまる大切な法則。
君:言語中枢も運動野の一部と考えていいのかしら。
私:とんでもない。決定的に違うんだ。脳みそと言えば皺の塊のようなものだが、機能は明らかに局在していて、特定の部位が特定の機能を持つ。運動野は一次運動野とも言うが、左右にある中心溝という、最もめだつ脳の皺の部分にあって左右対称性が保たれている。中心溝の意味は左右の大脳半球のそれぞれの中心部分の意味であって、脳そのものの中心という意味ではない。くどいようだが人間には左運動野と右運動野がある。ところが言語中枢は左右の片方にしかない。つまりは一方の大脳半球は形態学的には左右対称であっても、機能的には言語中枢機能が無いという不思議な脳みその世界。片方にしかない言語中枢(一般的には左大脳半球)だが、これまた実は大きく二つに分かれ、感覚性言語野(ウェルニッケ言語野、上側頭回と言う部分)と運動性(ブローカ言語野、左下前頭回と言う部分)からなる。
君:飛騨方言と関係があるのかしら。
私:おおありだ。お袋が心臓が弱り、心房細動という病気になり入院しているが、合併症で脳塞栓(右半身の片麻痺)を患っている。
君:それは言葉の中枢では無くて、左大脳半球の運動野ね。
私:その通り。右手足が不自由になってしまったお袋だが、僕が話す事は理解できて(ウェルニッケ言語野が正常)、話す言葉はたどたどしい飛騨方言だが、それでもきちんと飛騨方言が話せる(ブローカ言語野が正常)。
君:共通語ではなく、飛騨方言での会話ね。
私:それこそ当たり前。お袋の前頭葉もまともであり、文法は飛騨方言の文法。ウエルフェア・リングイスティクス(Welfare Linguistics)、共生の言語学と言う言葉がある事を知ってほしい。共通語教育と対峙する社会言語学的立場。
君:寝たきりのお方でも親子で会話が成立するという事はありがたすぎる話よね。
私:そうだね。歳も齢だけに病気になるのは仕方が無いと割り切ればよい。ところで私もお袋もだが、実は左利き。
君:それが何か関係あるのかしら。
私:左大脳半球優位だが右利き人間の9割、左利き人間の7割がそうだと言われている。
君:つまり、十人に一人以上は右大脳半球優位なのね。
私:その通り。お袋の大脳半球優位が右なのか、左なのか、という事が問題。確率的には左だね。生理学実験としては、左右のどちらかの頸動脈にアモバルビタールを注射し、大脳半球を半分だけ麻酔する和田試験というものがある。つまりは脳の半分を一時的に眠らせる事が出来るんだ。しゃべれなくなれば、そちらに言語中枢がある事が証明できる。
君:そこまでして、という実験ね。
私:勿論だ。医学の発展に貢献した事は間違いない歴史的な実験という事かな。今はMRI画像診断で簡単に診断できる時代なのでね。
君:結論を簡単にお願いね。
私:脳塞栓が広範囲に及ぶと運動麻痺とウェルニッケの感覚性失語(周囲の話しかけを本人が理解できない)とブローカの運動性失語(本人の発語を周囲が理解できない)の三者が伴う事になり悲惨ですが、小範囲では脳リハビリに期待が出来る。
君:期待が出来るのだから、ひたすらお母さまに話しかけて、仰ることを聞き逃さまいとしているのね。飛騨方言の会話だから(共生の言語学)、他人には意味不明よね。
ほほほ