大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム アイヌ語
さる猿
私:[さる猿]は倭語で、方言が無い。
君:二拍名詞で日本語としては最重要単語よね。
私:僕たち飛騨の人間の事を「飛騨のヤマザル」と仰る方がいらっしゃるからなあ。それはさておき、語源が気になる所だが、結論から言うと不明。アイヌ語サロ saro から来ているという説もある。
君:北海道にもニホンザルは住んでいるのかしらね。
私:いや。ニホンザルの北限は青森県の下北半島。津軽海峡はブラキストン線と呼ばれ、鳥類以外の日本の固有種の動物には北海道にしか住まない動物と青森以南にしか住まない動物に分かれる事がある。
君:北海道にいない動物にどうしてアイヌ語サロがあるのかしら。
私:アイヌは縄文人が津軽海峡を越えて北海道に進入した直系の子孫である事が人骨DNAにより証明されている。ヒトは津軽海峡を超える事が出来たが、サルは超えられなかったという事。
君:なるほど、本州の縄文人がサルと言い、北海道の縄文人がサロと言っていたのでは、という説ね。
私:如何にも。但し、アイヌ語サロは本州語サルの借用語ではないか、という説もある。
君:なにがなんだかわからないわね。
私:だから古代日本語の歴史とか語源学には、僕のような素人が入り込む余地がある。ニホンザルは旧石器文化の現生人類と共に本州に生息し、縄文遺跡から骨が見つかる。縄文人が食用にしていた証拠。
君:では、おしまい。
私:ついでにひとつ。古語に[ましら猿]がある。万葉の時代には「さる」が使われたが、古今の時代から[ましら]が使われるようになった。
君:どういう意味かしら。
私:[さる]は俗な言い方で、古今の時代から雅な言い方として「ましら」が出現した。語源学の中には「ましら」が音韻変化して「さる」になったのでは、というようなトンデモ説があるのも事実。サンスクリット語の markata を日本語訳し、摩期羅と表記したのを誤って転記して摩斯羅としてしまって「ましら」になったのが実際らしい(吉田金彦)。
君:吉田さん、ああ、あの語源学の第一人者ね。
ほほほ