大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 方言学
対格属格交替(2)
私:前回は対格属格交替という日本語方言の表現がある事を紹介した。
君:「ゴミを捨てる場所」を「ゴミの捨てる場所」と言う表現ね。
私:これが命題の方言学や生成文法の論文に遭遇したのが不幸の始まりだ。学術語のようだし、方言学に関連しているという事で紹介したのだけれど、accusative/genitive alternation の和訳のようだ。
君:和訳は直訳よね。これがお気に召さないという事かしら。属格より所有格がいいかしらね。
私:いや、そうではない。格表現 case としてとらえている事自体が問題なんだ。実は格の問題ではなく、直接修飾・間接修飾の問題だから。格は実は関係ないどころか、交替すらしていない。
君:詳しく説明するまでもないわね。確かに属格は変わっていないわ。
私:日本語としては不自然さが残るが、上記の例は「捨てるゴミの場所」という意味に他ならない。「ゴミの」は「場所」を修飾するのであって、「捨てる」を修飾するのではない。「ゴミを」は目的格、「ゴミの」は語順がどうであれ属格、つまり格の変化はないんだ。ボスニア語、クロアチア語、ロシア語などに文献がみられる対格属格交替、この概念を日本語でも解釈できないか、とお書きになった日本語を対象とした論文。言葉は悪いが、こじつけ・曲解でしょう。
君:市井のあなたが何を言っても、社会に影響は無いでしょうけれど。
ほほほ