大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム アクセント学
恣意的特異アクセント
私:固有名詞のアクセントが東京式内輪系アクセントと異なっていても、随分と古くから自然にそのようなアクセントになっていた事がほとんどだと思うけれど、時としてワザと特異アクセントが名乗られる事があるね。恣意的特異アクセントとでも命名しておこう。
君:いかに総論とは言え、具体例がいいわよ。
私:行きつけの料理屋の屋号が「みつば・三つ葉」だが、店主は屋号を頭高で発音している。蛇足ながら一般名詞としての「三つ葉」は平板アクセント。
君:そうする事によってお店の名前の響きが違ってくるわね。
私:店主はわざと頭高アクセントの店にしたのだろう。彼の仕業に違いない。彼に敬意を払って、僕も家内もこの屋号を頭高アクセントで発音している。
君:それはそうすべきね。
私:それと、私事で恐縮だが、結婚以来、家内は私の事を「しゅうちゃん」と呼んでいる。
君:ほほほ、悪い気はしないわね。
私:私は新婚時代はなんだか気恥ずかしくて、さん付けで呼んでいたものだが、そのうちに呼び捨てになった。
君:それはどこのご家庭でもそうね。
私:数年前だが、子供の頃に自分は両親に何と呼ばれていたのか、という事が夫婦の話題になった事がある。
君:それで。
私:お袋は私を「しゅうちゃん」と呼んでいたかな。家内は子供の頃は「よっちゃん」と呼ばれていたそうな。
君:なるほど。それ以来、あなたは奥様を「よっちゃん」とお呼びになり、今日に至るのね。
私:実は、その初日にひと悶着があった。
君:どういう事。
私:「よっちゃん」を私が中高(アクセント核が「ち」)で呼んだんだよ。家内が、それだけは絶対にいやです、と態度が豹変。
君:なにか理由があったのね。
私:中学時代の嫌いな友達がそのアクセントで呼ばれていたから。家内は家族から頭高アクセントで呼ばれていた。今日に至るまで、家内を頭高アクセントで呼ぶと随分と機嫌がよい。
君:あら、よかったわね。逆に、今後は一切、呼び捨てはご法度だわね。愛称「よっちゃん」で決まりね。
ほほほ